医院名 |
---|
妹尾病院 |
院長 |
妹尾 雅明 |
住所 |
〒731-0141 広島県広島市安佐南区相田1-10-21 |
診療科目 |
循環器内科・心臓血管外科・内科・外科・消化器内科・リウマチ科・血管外科・リハビリテーション科・整形外科・呼吸器内科 |
電話番号 |
082-878-5111 |
下肢静脈瘤とはふくろはぎや太もも、膝の裏側、足首のまわりの静脈(青い血管)が太く浮きでて瘤(こぶ)のようになっている状態です。
ずっと立ったり、座ったりしているとだんだん太くなってきます。
逆に横に寝ると目立たなくなります。
程度の差はありますが、成人の3人から5人に1人は足の静脈瘤があると言われています。
静脈は心臓への血液の帰り道です。ところどころに逆流を防ぐための“弁”があります。
この弁がうまく働かなくなることによって静脈瘤ができてきます。
大きく4つのタイプがあります。
ふくらはぎの内側や太もも、足首の血管がボコボコしてきます。
主にふくらはぎの後ろ側の静脈が目立ちます。そんなに表面のボコボコが目立たない場合も多くあります。
皮膚表面のチリチリした細い静脈瘤です。
太ももの裏側や膝の裏側に青い静脈が目立ちます。
「足に血液がたまってしまう」「よどんでしまう」ことでいろいろな症状が起こってきます。症状は少しずつですが悪化していきます。
静脈の弁膜の働きが障害されているため足の筋肉は心臓へ血液を帰すのに一生懸命働かなくてはなりません。立ち仕事はもちろん、座ったままの仕事、車の運転、買い物などでも症状は起こります。進んでくると歩くこと自体がおっくうになり、ショッピングや旅行も楽しめなくなってしまいます。足の静脈瘤で病院を受診される方の80%以上の方が訴えられる症状です。
寝ている間や明け方に足を伸ばした時に足がつってしまいます。特に歩き回って足が疲れたなと感じる翌朝によく起こります。静脈瘤のため血液がよどんで足の筋肉がひどく疲れやすくなっているためだと思われます。こむら返りが静脈瘤と関係があるとはなかなか気づかない方も多いようです。
朝起きた時は、足は普通なのに夕方になるとだんだんむくんできて、くつ下のあとがくっきり残るようになります。ひどくなるといつも腫れた状態になってしまいます。足が鉛のように重くなりだんだんと日頃の生活でも歩くこと自体が難しくなってきます。こうなると老化が進む大きな原因となってしまいます。
静脈瘤があまり目立たなくても冷たい、痛いが静脈の弁の逆流のために起こっている方がおられます。超音波検査で初めて静脈瘤が症状の原因とわかる場合もあります。
静脈瘤があると足の皮膚の血流が悪くなり炎症が起こります。
お風呂に入って暖まるとひどくかゆくなる場合があります。
炎症が進み皮膚が茶色になり硬くなってくると要注意です。
傷が治りにくくなり皮膚が掘れてしまう(潰瘍形成)と大変です。
足に青い血管が浮いていて「足が重だるい」「むくむ」「こむら返りが起こる」等の症状がある方はぜひ専門医の診療を受けることをお勧めします。
下肢静脈瘤は内科、外科、整形外科などの専門科の“はざま”の疾患です。人間ドック、かかりつけの先生、大病院の外科外来などで「放っておいても命にはかかわらないよ」と冷たく対応されることも多いようです。でも患者さんにとってはつらい症状です。悪化すると歩くのが難しくなるし、皮膚潰瘍をつくることもあります。
診療はまず全身の状態(心臓、肺、血管等)を問診、聴診等で把握します。
もちろん外からみえる下肢静脈瘤の状態を観察し症状も詳しくお聞きします。
「適確な診断」を行い「適切な治療方針」を決めるには「超音波検査」が不可欠です。
痛みや負担は全くなく安全な検査です。この検査で足の静脈の状態がほぼわかります。
治療方法は大きく分けて4つあります。
これらの方法を組み合わせて患者さん一人一人の状態に沿って治療していきます。
治療の最大の目的は「下肢静脈瘤による症状を可及的に改善させること」にあります。
この中で血管内治療は患者さんにとって負担のより少ない方法として急速に拡がっています。もちろん当院でもレーザーファイバーによる血管内治療を導入して積極的に行っています。
我が国では2014年から保険診療が認められました。
治療の方法を簡単に説明します。
(図の大伏在静脈という血管を治療する場合)
膝下部に局所麻酔をして直径1.6mmの細いカテーテルを血管の中に入れていきます。
超音波で見ながら足の付け根で深部静脈に合流する約2cm手前までカテーテル先端を進めていきます。
カテーテルの周囲に足の付け根から膝下まで局所麻酔薬を注入します。
カテーテルを引き抜きながらカテーテルの先端からレーザーを血管内に照射し、レーザーの発する熱で静脈の壁を変性させて血液の逆流を止めてしまいます。
膝から下のコブコブがひどい時は静脈瘤切除術を追加します。
手術時間は30分から1時間程度です。
手術による傷も小さく、術中、術後の痛みもほとんどなく優れた治療方法です。
手術後もすぐに歩けます。日帰り治療で可能です。仕事もすぐに復帰できます。
また高齢の方でも大丈夫です。(ただし大伏在静脈がとても太くなっている時、ひどく屈曲している時は難しいこともあります。)